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新千歳2016で観た『この世界の片隅に』


新千歳から帰ってきました。

新千歳空港国際アニメーション映画祭、 去年に引き続き、2度目のノミネートで招待して頂きました。

日本コンペティションです。

たくさんのプログラムがあって、また招待作家も多くて、

いっぱい観て、いっぱい話して、それで時間が過ぎてしまうので、

映画祭が始まっちゃうと、

せっかくの北海道だけど全く観光なんて出来ないくらい忙しい、

賑やかな映画祭です。

私が観たプログラムの中で、

今年印象に残っているのは、

こうの史代さん原作、片渕須直さん監督の、

『この世界の片隅に』です。 これは、『この世界の片隅に』クラウドファンディングのページ。

監督からのメッセージや企画内容が詳細に書かれています。

https://www.makuake.com/project/konosekai/ 一般公開前の先行上映という形のプログラムを、映画祭で観たのですが、

感想を先に言うと、

本当に、本当に、温かい心のこもった丁寧な映画でした。

歴史資料や現場の調査を徹底的に行ってきた片渕監督の評判は まさしくその通り画面に生きていて、

また原作の空気感、テンポ感を(私原作未読なのですが…)

おそらく本当に大事にされてたんだと感じとれる

絵コンテ、間合いでしたし、

なにより、観ていて本当に画面の中の人たちと暮らしを共にしているような、

とても親身に観ていられる映画でした。

演出している側の個人的な願望とか、編集の気取りとか、評判を乞うている心理とか、

そういうのを最初から最後まで全く感じさせない。

映画の最初から最後まで、暮らしはそこにあって、

登場人物たちに何があっても、心が側から離れなかった。 自然と涙が出て来る、なんてありきたりな映画の感想の意味を、

今が本当の使い時だと心の底からの確信を持って更新したい、

泣けるなんてことじゃない、

すずさん(主人公)やみんなを、大事に思っている、

だから涙が出てくる、そんな映画でした。

この映画が、流行るといいなぁ。

上映終了後、 登壇して話す片渕監督の開口一番、

「泣いてしまうんですよね。」。

「今までの作品では泣いたことは無かったんですが、この作品ではどうも泣いてしまいます」

そう言うと笑いが起こって、会場が少し緩んだのがまた印象深かったです。

片渕須直監督には、

修了展のGEIDAI ANIMATION 05 GOの、ユーロ会期のイベントで、

修了作品を片渕監督に観て頂いて恐れ多くも分析してもらうというトークイベントの時、

私の修了作品『澱みの騒ぎ』についてコメントを頂いたことがあり、

それ以降、恐れ多くも覚えて頂いていて、時々の折にご挨拶させて頂いたりしていました。

11月3日の先行上映の翌日、

『マイマイ新子と千年の魔法』の上映と、片渕監督のトークがあるイベントを観て、

イベントが終わったあと、ご挨拶させて頂きました。 僭越ながら、感想をお伝えしたくてたまらなかったんです。 あんなにあたたかい気持ちになる長編アニメ映画を観たの本当に久しぶりだったので。

片渕監督はとても低姿勢で、

ステージに上がってお話しされるあのまんまの姿で、お話聞いて下さって。 意気込んでアタックしたはずなのに私言葉下手でそんなにたくさん話せてもいなかったのですが、

話しているうちにすぐ私のほうが泣いてしまい、

「あぁすみません泣いてしまう」と漏らしたら、 「泣いてしまうんですよね。」と、柔らかい表情で淡々と。

完成を迎えた今、この作品のもつ強さを、片渕監督ご本人もきっと、 おそらくもっとも近い所で、体感なさっておられるんだろうと感じました。

「まだ原作は読めてなかったんです」とお伝えしたら、

「あぁそれは良かったかもしれない、原作はもっとたくさんあるんですよ。

 原作の後に観たら物足りなかったかもしれない。もっとたくさんのエピソードがあるんです。」

と、惜しそうに、かつ少し高揚して仰るので、 本当に、原作の全てのエピソードを愛して制作なさっていたんだというのが伝わってきました。

ほかにも、マイマイ新子の世界は、この世界の片隅にの約10年後にあたること、

すずさんはちょうど、マイマイ新子の中のお母さんの世代であって、 同じ時代を生きているだろうということ、 『この世界の片隅に』の原作は、「漫画アクション」での連載時、 その掲載日と同じ日付にあたるすずさんの1日が(日記的な表現で)掲載されていたこと、

だから物語の世界は、私たちと時間で繋がっていること、 そういうことをお話ししてくださって。 勇気を出してご挨拶に行ってよかったなぁと思いました。 素敵な監督です。ほんとうに。 (ちゃっかりサインも頂いたりして。。) 『この世界の片隅に』が、

たくさんの人に観られますように、 たくさんの映画館で長く上映されますように。 そして、本当に素敵な映画祭でした、新千歳空港国際アニメーション映画祭。 まだまだもっといろんなエピソードはあるんだけど、

いつか書きたくなったら書きます。

また作品と一緒に来られますように。 お世話になりました。ありがとうございました。

Onohana